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2023年07月27日 #EXHIBITION

華雪書展 「そこにあるもの」

会場:Art Column River Line (N7区画)
会期:2023年7月27日~9月3日(会期終了)

 

華雪書展「そこにあるもの」によせて

 

江戸時代に生きた禅僧良寛は生前多くの詩を残した。その詩はしばしば「日々日々又日々」とはじまる。

良寛は新潟出雲崎に生まれ、放浪の末、40代から現在の燕市にある国上山の寺に小さな庵を結び、暮らした。俗世から離れた彼のもとにも、当時の度重なる飢饉や大地震といった世相をゆさぶる出来事は伝わった。人々を思う痛切な心もまたこのことばに重ねられてゆく。

 

3年前にはじまった新型コロナウイルスの世界的まん延は未だ収束が見えず、ウクライナでの戦火もまたその先行きは見通せない。

穏やかな日々は決して当たり前のものではないと知らされるような今をわたしたちもまた生きている。

 

暁は夕暮れへと移り変わり、月は満ちて欠ける。植物は芽吹き、花が咲き、枯れたのちまた花開く。こうした自然の約束は、日々日々又日々と生きる人々の心を古来からやわらげてきたのかもしれない。

そうした自然の約束を切り取った〈一片〉のことばにはじまり、かつての駅であった場を行き交った人々に思いをめぐらせる。

 

〈そこにあるもの〉を書く。そこには〈今〉が映される。

そんな〈今〉を留めた書を日常の暮らしの中に飾る。日々日々又日々が過ぎ行く折々で、観る人の心持ちが変わるごとに、書もまた異なる顔を見せる。

 

―華雪―

 

 

 

***展示と連動したワークショップ、パフォーマンスの開催について***

 

華雪さんご本人によるワークショップ(9/2)、パフォーマンス(9/3)を開催します。詳細は以下をご覧ください。

https://japanartbridge.com/event/230902kasetsu

 

※8/12,13に開催を予定していたワークショップ、パフォーマンスは台風の影響により、9/2,3に延期しています。

 

 

■華雪 プロフィール書家。1975年、京都府生まれ。立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業。92年より個展を中心に活動。幼い頃に漢文学者・白川静の漢字字典に触れたことで漢字の成り立ちや意味に興味を持ち、文字の由来を綿密にリサーチし、現代の事象との交錯を漢字一文字とテキストの組み合わせで表現する作品づくりに取り組む。また〈文字を使った表現の可能性を探る〉ことを主題に、国内外でワークショップを開催している。美術館・大学での公開講座から、近年は釜ヶ崎芸術大学や箕面市立萱野中央人権文化センター、栃木市こどもサポートセンターなどでワークショップを行い、識字問題や自閉症をはじめとした様々な障害を抱えた方たちにとっての一字書の可能性を見出している。
主な展覧会として、2012年「水と土の芸術祭」(北方文化博物館別館、新潟)、2015年「高橋コレクション展——メッセージズ」(十和田市現代美術館、青森)、2016年「山形ビエンナーレ」(東北芸術工科大学/旧西村写真館、山形)、2018年「生命の樹」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)、2018年「Kasetsu in Conversation with Rosetsu」(Museum Rietberg、チューリッヒ)、2021年「ことばのかたち かたちのことば」(神奈川県民ホールギャラリー、横浜)、2021年「ASIA NOW」(Galerie ANTHOLOGIE、パリ)、2022年「生命の花」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)など。刊行物に、『静物画-篆刻ノート-』(2001年、平凡社)、『石の遊び』(2003年、平凡社)、雑誌「アイデア」特別付録『枕と燈台』(2003年、誠文堂新光社)、『書の棲処』(2006年、赤々舎)、『ATO 跡』(between the books、2009)。2015年、2019年には『ベストエッセイ』(光村図書)にエッセイが収録。他に、『コレクション 戦争×文学』(集英社)、『木の戦い』(エクリ)をはじめ、書籍の題字も多数手がける。
2022年より劇団態変主宰・金滿里ソロ公演『漆黒の赤』、小濱明人尺八ソロリサイタル『風狂』などの舞台美術制作も行う。

Instagram kasetsu_sho

【個展】

2023 「一片 そこにあるもの」 GOTTA九段下、東京

2022 「鳥 雪」 新潟絵屋、新潟

2022 「花」 ギャラリー京都寺町菜の花、京都

2022 「くずれる」 HARUKAITO、東京

2022 「短冊」 月日荘、名古屋

2021 「Le temps de l’écriture」 Galerie anthologie、パリ

2021 「みえないものたち」 古本遊戯 流浪堂、東京

2020 「ながれる」 HARUKAITO、東京

2020 「書」 うつわ菜の花、神奈川

2019 「不二」 古本遊戯流浪堂、東京

2018 「光/花」 BLOCKHOUSE、東京

2018 公開制作「Kasetsu in Conversation with Rosetsu」 Museum Rietberg、チューリッヒ

2018 「顔」 書肆サイコロ、東京

2018 「文学」 新潟絵屋、新潟

2017 「顔」 新潟絵屋、新潟

2016 「鳥」 二宮家米蔵、新潟

2016 「うつろう」 BLOCKHOUSE、東京

2016 「生活」 新潟絵屋、新潟

2015 「由」 新潟絵屋、新潟

2014 「家を巡る」 新潟絵屋、新潟

2012 「それはかならずしも遠方とはかぎらない」 hiromiyoshiiroppongi、東京

2012 公開制作「木を書いて森をつくる」 原美術館、東京

 

【グループ展】

2023 高橋龍太郎コレクション展「ART de チャチャチャ」WHAT MUSEUM、東京

2022 「ヴァンジ彫刻庭園美術館20周年企画展「生命の花」 ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡

2022 「MIND TRAIL  奥大和 心のなかの美術館」 奈良・天川村

2022 「とある美術館の夏休み」千葉市美術館

2022 「ことばのかたち かたちのことば」 神奈川県民ホールギャラリー、横浜

2021 「ASIA NOW」 Galerie ANTHOLOGIE パリ

2021 「PROJECT ATAMI AKAO ART RESIDENCE」 ホテルニューアカオ、静岡

2021  1970年大阪万博50周年記念プログラム「根の力 -THE POWER OF ORIGIN-」 大阪日本民芸館、大阪

2020 ヨコハマパラトリエンナーレ BOOK PROJECT「そのうち届くラブレター」 横浜市役所、横浜

2019 「合同船」竹俣勇一・華雪 新潟絵屋、新潟

2018 ヴァンジ彫刻庭園美術館15周年企画展「生命の樹」 ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡

2016 山形ビエンナーレ 東北芸術工科大学、山形

2015 「高橋龍太郎コレクション展——メッセージズ」 十和田市現代美術館、青森

2015 「口 器」柳原照弘・華雪 hiromiyoshiiroppongi、東京

2015 片桐功敦・森田春菜・華雪三人展 和の器韋駄天、東京

2013 「花の眼 書の眼」片桐功敦・華雪 和の器韋駄天、東京

2013 ふくしまアートキャンプ 東北芸術工科大学・東北復興支援機構、山形

2012 水と土の芸術祭 北方文化博物館別館、新潟

2012 小山登美夫ディレクション「透明な混沌/Crystal Chaos」展 ヒカリエ、東京

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